INSIGHTS / ESSAY
2026.08.28インターネット再入門

AI、フェイク情報、進化する詐欺。効率化の時代に考える「天国に行くため」のインターネット再入門

SNSの普及で誰もが発信できるようになり、AIの進化であらゆるコンテンツが簡単につくれるようになった昨今。便利になる一方で、真偽を見極めることが難しくなっているのも事実です。

そこで、インターネット上の情報を解析するサービスを手がけるSEARCHLIGHT(サーチライト)株式会社が、大人のための「インターネット再入門塾」を開講。代表の瀬戸が、おくりバントの高山さん・西久保さんを迎え、ネットに蔓延する情報との向き合い方から、効率化だけでは測れない価値まで、真面目に語り合いました。

対談の様子は動画でもご覧いただけます。
https://youtu.be/qDZ2o1mbrno?si=3OQ5FFqA5uFDLWfF

進化し続けるインターネットに置いていかれないために、今こそ再入門しよう

 

高山:俺たち付き合い自体は6〜7年以上あって結構長いけど、瀬戸さんのこと何も知らないよね。
西久保:そう。公認会計士試験に受かったことだけは知ってるんだけど。
瀬戸:それも、もう昔の話ですが。今はSEARCHLIGHTっていう会社を立ち上げて今期で3年目ですね。
高山:瀬戸さんは、おくりバントの元親会社アドウェイズの山田社長とも親交があって「ネットの不正やインチキに詳しい」って結構頼りにされてるんだよね。
西久保:そう。僕らも昔からインターネットを使ってきたつもりだったんですけど、最近は変化が早すぎてわからないことも増えてきたなと思っていて。だから、今日は瀬戸さんにいろいろ聞きながら、「インターネット再入門」させてもらえたらな、と思ってやってきました。
瀬戸:全然、僕でよければ。

 

(キャプ)おしゃれな缶の水に美味しいシュークリーム
高山:それはそうと、ここは客にお茶菓子の一つもでないんでしょうか……?
瀬戸:あ、シュークリームがありますよ。最近ハマってて。「あさぎり牛乳」と「東京ミルクチーズ工場」のシュークリームです。

 

(キャプ)シュークリームに群がる高山と西久保
西久保:すごい、取り合って喧嘩にならないくらい大量にある。
高山:なにこれ、どっちもめちゃくちゃ美味しいな。
瀬戸:僕ももう40歳になったので、美味しいグルメをある程度知っているおじさんになりたいな、と思って。
高山:瀬戸さんが信頼に足る人物だということが分かりました。

これからのネット社会に超必要そうな「新しい検索」サービスをつくるSEARCHLIGHT

 

高山:そもそも、今瀬戸さんの会社は何をやってるんですか?
瀬戸:簡単にいうと、インターネット上にある情報を集めて解析するプラットフォームを開発しています。僕は「新しい検索」と呼んでいるんですけど、今ってこれまでのブラウザとかSNSなど、いろんな場所に情報が分散してますよね。それらの垣根をなくして、必要な情報にアクセスできるサービスをつくってます。

 

西久保:へえ、どんな風に使うんですか?
瀬戸:たとえば、ゲーム会社だったら自社のIPが勝手に使われていないかを確認したり、小売業だったら商品に関するネガティブな情報を集めたり。最近はYouTubeやTikTokなどの動画コンテンツも増えているので、その内容まで解析して、リスクにつながりそうな情報も拾えるようにしています。案件動画のなかで薬機法に抵触しそうな表現がないかチェックする、みたいな使い方もできますね。
西久保:動画になると一つひとつ内容を確認するのって大変ですもんね。

 

瀬戸:そうなんです。あとは、ネット上には公式情報と違う内容が広がることもあるので、「この情報は公式発表とここが違いますよ」といった差分も見つけられるようにもしてますね。
高山:今の世の中にはすごく必要そうなサービス。
西久保:それってもう一般にリリースされてるんですか?
瀬戸:いや、今は一部の限られたユーザーや、親交のある新聞社に使ってもらっている段階ですね。使い心地を聞きながら、少しずつ改善しているところです。
西久保:いつかちゃんと儲けそう。そのときはお金貸してくださいね。

 

AIで声まで再現される時代。詐欺から身を守るサービスが普及しない理由

 

高山:本当に昨今、何を信じたらいいかわからない世の中ですよね。
西久保:高山さんも実際、詐欺に遭いそうになったもんね。
瀬戸:え、何があったんですか?
高山:クレジットカード会社を名乗るところから「あなたのカードが不正利用されてる可能性があります」って電話がかかってきたんですよ。その後、自称警察からも連絡がきて重大事件に巻き込まれているみたいな展開になって。
西久保:最近よく聞く劇場型の詐欺だよね。
高山:途中で嘘だと気づいたから被害はなかったんですけど、1時間くらい本当にドキドキしながら対応しました。自分では絶対そういうのに騙されないタイプだと思ってたんですけど。

西久保:今後、そういう詐欺に遭わないためにはどうしたらいいんですかね?
瀬戸:知らない番号の電話には出ないとか、メールのURLはすぐ開かないとか、基本的な対策はあると思います。ただそれも、結局それっぽい番号を取られたら意味ないですもんね。
西久保:そうなんですよ。
瀬戸:最近だと、まず母親に電話して声のデータを学習させて、その後その子どもに母親の声で電話をして騙す、みたいな詐欺もでてきてますし。
西久保:怖すぎ。それに対して国とかどう対策してるんですか?

 

瀬戸:一応、対策技術への投資自体はしているはずなんです。それを国が直接運営するのか、それとも民間につくらせて広げていくのかは、与り知らぬところではありますが。
高山:なるほど。
瀬戸:ただ、僕が知っている範囲で言うと、こういう防犯系の技術って今の日本ではあまり儲からないんですよ。
西久保:そうなんですか?
瀬戸:詐欺を防ぐアプリがあったとしても、月何千円も払う人ってなかなかいないじゃないですか。無料か、せいぜい月数百円くらいのサービスになると、開発側はビジネスとして成立させるのが難しい。儲からないことって、結局大人はあまりやらないんですよ。だから、本当は世の中に必要なものでも、お金になりづらいから広がっていかない、みたいなことは結構あると思ってます。
高山:確かになあ。

 

瀬戸:一方で、画像検証の対策の方は少しずつ進んでて。たとえば能登半島地震のときも、Xでデマ画像がたくさん出回ったんですけど、「この被害状況の写真、実は過去の別の災害のものですよ」とコミュニティノートですぐ補足情報が追加されたり。
西久保:ありましたね。
瀬戸:デマ画像に関しては、正しく判断するための材料さえあれば、騙されずに済むことも結構あると思います。「ラーメン二郎目黒店を食べました」って嘘の写真をネットにあげてる人がいても、見る人が見れば「いや、これ目黒店じゃないじゃん」と見抜ける。それも、その人の中に判断材料である知識があるからなんですよね。

 

牧歌的な詐欺の時代は終わった。効率化を追い求めた先に生まれた歪み

 

西久保:今の進化した詐欺を考えると、昔の迷惑メールとかかわいいものでしたよね。「俺、拓也。中居、元気か?」みたいなやつとか。
高山:あと、「遺産が30億あるから数時間以内に受け取ってくれ」みたいなのもあったよね。
瀬戸:そう。もうああいう牧歌的な詐欺の時代には戻れないんですよ。
西久保:牧歌的な詐欺(笑)

 

高山:インターネット広告だって、最近は本物なのか詐欺なのか見分けるのがどんどん難しくなってるし。
瀬戸:そうですね。「この広告は一体誰が出しているんだろう」と調べたら、リンク先のサイトと運営者の名前が全然違ったり、明らかにAIが書いてる文章だったり。
西久保:さっきの電話の話もそうだけど、昨今はAIの進化で起きる問題も増えてきましたよね。
瀬戸:そうなんですよ。僕は、正直最近のAIの盛り上がりには少し懐疑的で。AIが普及し始めた頃は「嘘の情報を出すこともあるから業務には使えないよね」って慎重だったのに、結局は効率には勝てなくて、今はもう方法論の話に終始してる。そういう効率を追求した先に生まれた詐欺なんかは誰がケアするのかな、と。
西久保:リテラシーがないと難しいですよね。

瀬戸:そうなんです。そもそもいち個人が「これは本物なのか、騙されていないか」って毎回判断しなきゃいけない状況自体がおかしいとは思ってます。
高山:そうですよね。しかもさっきの話でいうと、そこに取り組んだからといって儲かるわけじゃない。
瀬戸:はい。それを正したところで、僕が得られるものって「いや〜人の役に立ったな」って徳を積んで、死後に天国に行ける可能性が上がるくらいなんですよ。
高山:天国には行きたいんだ(笑)

 

瀬戸:行きたいですね(笑)。インターネットの問題って、企業だけじゃなくて、そこに触れる僕たち一人ひとりにも影響するじゃないですか。そこで自分にできることは何なのか考えたときに「必要な情報へ正しくアクセスできる仕組み」をつくることなのかなと思って、今の事業を始めた部分もあります。
西久保:天国に行けそう。
高山:その話は詐欺じゃなさそうですね。

 

損得勘定抜きで「なんでやってるの?」と思うものほど人生を豊かにしてくれる

 

瀬戸:こういう仕事をしていると、普段使っているサービスも「これはどういう仕組みで成り立っているんだろう」って気になるようになって。
西久保:職業病だ。
瀬戸:便利なものって、基本的には裏側に何かしらの仕組みがありますよね。ChatGPTも広告導入の話が出ているように、無料で便利に使えるサービスにも、そう成り立つ理由がある。そんなことを考え始めると、世の中のあらゆるものをそういう目で見ちゃう。
高山:全部が合理的に見えてくるというか。

瀬戸:はい。だからこそ、損得勘定じゃないものに惹かれる部分もあって。少し前に行ったデカ盛りで有名な純喫茶があるんですけど、バブル期にすごく儲かったらしくて、今はコスト関係なくありえない量で出してるらしいんですよ。そういう「なんでやってるの?」みたいなものって、今のインターネットの世界にはあまりない気がしていて。全部が合理性とか効率で説明できちゃうのが、ちょっと寂しいなと思うんですよね。
高山:いい話だ。
西久保:インターネットの安全性から、損得では測れない豊かさの話まで広がりましたね。次回は、今何かと話題のインターネット上の喧嘩について伺いたいです。
瀬戸:分かりました!また何か美味しいものを用意して待ってます。

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